エスカレートする黒い汁
当社のコーヒーメーカーは、
イタリア生まれのデロンギ製。
鈍いシルバーカラーを放つ、
なかなかにイナセな奴です。
人によって、
好みのコーヒーの濃度は様々ですが、
当社で一番コーヒーを愛好する僕の好みは、
エスプレッソ並の高濃度。
慣れとはコワイもので、
今ではすっかり濃いコーヒーを日常的にお召し上がり。
でもね、でもですね、
僕的には、もう少し濃い方が、
イタリア人でも尻尾を巻いて逃げ去るような、
限りなく純黒100%に近い、ガッツリしたコーヒーが
望ましいわけなんです。
でも、急にそんなコーヒーを淹れてしまうと、
やれ独善的だ、やれオフィスの
非難ゴーゴーになるのは日を見るより明らかでないですか。
「ちょっと、あなたとはやっていけません」などと、
いつ三行半をたたきつけられるか分からない、
100パー緊迫した状況に陥るじゃないですか。
それで、策略を巡らしまして、
毎日、微量、そう1グラムずつ、増量して、
コーヒーを淹れているんです、実は。
誰も気づかない、静かなる僕の野心。
来月の終わりくらいには、
かなり僕好みの高濃度が、
当社レバレッジのスタンダードになっているはずです。